西穂高岳(長野)

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同行者 M. 1969.09.05〜09.08

09.06 

河童橋 11.10発−12.15 水場 13.00−西穂山荘着 14.20 就寝 18.30

09.07 

起床 5.30  出発 6.00−6.45 独標 7.00−8.00 西穂山頂8.30−10.00 西穂山荘 11.00−自動車道出会 12.40−新穂高温泉着 14.00


9月6日(土)曇後晴
松本に着くと前夜からの雨で上高地行きのバスは不通とのこと。とりあえず島々まで行き、午後から運行開始というのでしかたなく日向ぼっこ。ところが以外と早く動きだし、1時間半ほど待った後9時半頃から運行再開。
盛夏と比較して人はぐんと少なく、女性の周遊券利用の旅行客が多い。河童橋からは例の吊尾根はガスがかかって写真も撮れず。西穂登山口までは梓川右岸の歩き慣れた白樺道である。
登山口からは樹林帯の中を登りにかかる。日は照りつけ、風のない登りなので、8月の始めなら暑くてたまらないところだが、さすがもう秋である。ほとんど汗をかかない。
それほどの急登もなく、ほぼ尾根伝いに上がる。途中、水場があるなと思うと「この水飲めません。上部水場」の札があり、これを 2.3度くり返すと、やっと本物の水場がある。先を急いでも仕方無いので、ここで1時間近く休憩。
人は相変わらず少なく、手ぶらの女子高校生2人と抜きつ抜かれつやっている間に登りはほぼ終わり、お花畠の尾根に出る。名は知らぬ紫色の花が多い。この辺は二重山稜になっているため、見通しは悪い。ほとんど平地に近いお花畠から一登りすると、西穂から焼岳へつながる尾根に出る。
さらに10分程登ると西穂山荘に着く。山荘の前一帯はお花畠だが時期が悪く、シシウド以外これといった花はない。
山荘の北側から、やっとハイ松帯が始まっている。朝は好天であったのに雲が広がり、乗鞍は全く雲の塊である。東側は六百山、霞岳が見えるが水蒸気ではっきりしない。西側の笠岳も雲の中だ。
先程の女学生達は残念そうな顔をして再び上高地へ引き返して行った。上高地からこの山荘までは近いためか、他にもこういう手ぶらの日帰り組がいる。
 
9月7日(日)曇後雨
比較的天候は良好。小屋のすぐ裏手から、ハイ松帯中の大きな花崗岩が露出しているやや急な登りをしばらく登ると見通しがよくなる。南は焼岳から乗鞍、西は笠岳。しかし飛騨側の谷からガスが吹上、水蒸気分も多く、あまりシャープなながめではない。
しばらく尾根道を歩くと次第に岩が多くなり、急登の後独標である。ここから先の岩稜や前穂方面は完全にガスに覆われ、上空には非常に大きなレンズ雲が横たわり、これから先の悪天を暗示しているかのようである。
独標の下りから急に岩場となり、しかもちょうどここが 2.3年前の落雷事故で高校生が大勢遭難した場所らしく、誰々よ安らかに眠れという文字があちこちにあり、あまり気持ちのいいものではない。
こういう岩場歩きは、Mさんはあまり慣れていないせいか、下りになるとずっと遅れる。このあたりの尾根の相は、斜面が黒っぽいハイ松でその上部の方は細かい層の入った黒い岩場で、空が明るくないせいか非常に陰惨な感じがする。
ガスで見通しのないのが面白くないが、好きな岩場なのであまり飽きも疲れもせぬうちに西穂頂上にたどり着く。何も見えない。先客が4名居り、そのうち3名は奥穂まで行くと言って、ガスに覆われて何も見えないジャンダルム方面へ姿を消す。
西穂に来た一番の目的は、西穂−奥穂間の北アルプスで一番険しいと言われる岩稜を間近に眺めることにあったのに、それが果たされず残念。間もなく男2名に女5名程の団体が来て、女の子はまだ10代のようだが皆でビールの回しのみを始める。たしかに世の中は変わったものだ。
ガスの中でじっとしていても仕方ないし、騒がしくなったので退散する。小屋からは予想外の近さで、水筒の水も必要なかったようだ。小屋までの下りは、荷物をMさんに替わって持ってもらうので非常に身が軽い。小屋まで1時間半。
ゆっくりして12時頃小屋へ戻る予定であったのに、まだ10時でかなり予定が狂う。一休みしている最中に急に雨が降りだし、これ幸いとばかり、まだ昼食には早いが雨宿りをしながらラーメンを炊く。この時、日本全国をまわっていて今日が60日目だという男に会う。何を食っているのか知らないが、1日の予算50円から 100円でほとんど野宿という大変な奴だ。
雨も上がったようなので新穂高へ向かって下りだしたが、上高地側と違って道は大変細く、熊笹が覆い被さっているため、足はすぐにびしょ濡れになる。
やがて再び雨となり、ポンチョのおかげで背中と腹だけは大丈夫だが、腰から下はずぶ濡れでとてもうっとうしい。大峯山で会ったような大雨で、雨音以外何も聞こえない。地図ではすぐ谷へ下りるようになっていたが、この道はずっと尾根伝いで道標も全くない。1時間で自動車道と会うはずが、1時間あまり歩いてもいっこうにそれらしきものもない。
雨で全然休む場所もなく歩き通しで、かなり疲れが出てくる。1時間半以上歩いて、やっと自動車道に出てほっとする。
しかしここからがまた長い。車道であるため道は傾斜がゆるく、気が遠くなるほど大廻りしている。やっと薄くなったガスを通して下界はまだずっと下方らしい。
新穂高近道という道標にそって車道からそれると、前方に意外に近く建物が見える。ほっとしたが、それは木立ちにかくれたきり全然目の前に現れず、道も別の方向へ行ってしまう。飯場か何かだったのだろう。
また急に疲れが出る。視界が開け、草の茂った高原地帯に出る。晴れていれば気持ちのいい所だろうが、あまりものを言う元気もない。
間もなく鍋平という立て札のたっている所へ出るが、まだ人気もなく、建物も見えない。新穂高へは再び細い道にそれるがそこから道は2つにわかれ、道標はない。少し先まで行って確かめる元気がなく、とにかく左へ行く。
木の生い茂った道は急な下りとなり、下方は水音が激しい。すぐ下に発電所が見えているのだが、そこまでがまた時間がかかる。下りきったところは自動車道で、ひょいと右方を見ると新穂高のバス乗り場がすぐそこに見える。疲れの度合からかなり歩いた予定だったがまだ2時、小屋からは3時間しか歩いていない。
今まで何度か山へ行ったが、下りにバス停まで誰にも会わなかったというのはこれが始めてだ。たいして歩いていないのに、下りでこれほど疲れた原因が分からない。
すぐバスに乗ればその日のうち12時近くに寮へ戻れるのだが、ここは温泉だというので泊まることにする。中崎山荘泊。食事時はまだ客は我々一組だけ。いやになる程静かな温泉だ。
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どこからどこを撮したのか
西穂高のどこからどこを撮したのか
 
焼岳
西穂高岳から見る焼岳
 
笠ヶ岳
西穂高岳から見る笠ヶ岳
 
シシウド
新穂高温泉への下りで出会ったシシウド

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